
エクセルで「参照」という言葉をよく見るんですが、意味と使い方がわからないので教えてください。

「参照」という言葉は知らなくても、知らないうちに使っていることも多いんだ。
でも、参照の意味や使い方を理解しておくと、もっと便利に使えるようになるよ。
エクセルで資料を作成していると、途中でデータが追加されたり、入力したデータを修正したりすることがあります。
そんなときに便利なのが「参照」です。
セル参照でデータを入力しておけば、セルの数字を変更すると計算結果も自動的に修正されるので、修正箇所を減らせます。
- 四則計算や他のセルに入力した文字や数字と同じものを表示させたいときは、セル参照を使う
- 「相対参照」・「絶対参照」・「複合参照」の意味と違いを理解しておく
- セル参照で入力した計算式をコピーしたいときは、3つの参照を使い分ける
本記事では、参照の基本から実務に役立つ便利な使い方まで紹介していますので、ぜひ参考にしてみてください。
エクセルの参照とは?セル番地を指定して文字の表示や計算をすること
エクセルの参照とは、セルに数字や文字を直接入力するのではなく、データが入力されているセル番地を使って、計算式や同じ文字を入力することです。

セル番地って何ですか?

セル番地とは、「列」のアルファベットと「行」の数字が重なった部分を、「A1」のようにアルファベットと数字で表したものだよ。

先頭のセルをクリックすると、「A1」とされている部分がありますね。
ここに表示されているのが「セル番地」です。
このセル番地を使って計算式などを入力することを「参照」といいます。

エクセルでは、りんごの合計金額を計算したい場合、「=1*100」と入力してEnterを押すと合計金額が計算できます。
しかし、上記のように直接数字を使って計算式を入力してしまうと、個数を変更しても合計金額は自動では修正されません。
ためしにりんごの個数を「1」から「2」に変更してみましょう。

りんごの個数は「2」に修正されていますが、「D2」に表示されている合計には反映されていません。
今度は、セル参照で計算式を入力してみましょう。

セル参照で計算式を入力する場合は、個数が入力されている「B2」と単価が入力されている「C2」を使います。

個数を「2」から「5」に変更すると、合計金額が「200」から「500」に自動で修正されました。
セル参照で計算式を入力しておくと計算結果が自動で修正されるので、修正漏れを防ぐことができます。
参照の種類は全部で3つ!
参照には、以下の3種類があります。
- 相対参照
- 絶対参照
- 複合参照

この3つは何が違うんですか?

セル参照で入力した計算式をオートフィルでコピーしたときのセル番地のずれ方に違いがあるんだ。
エクセルに入力した計算式は、オートフィルでコピーできます。
しかし、入力方法を間違えると誤った計算式がコピーされてしまうので注意が必要です。
それぞれの参照の違いと、計算式の正しいコピーの仕方を覚えておきましょう。
相対参照:オートフィルで計算式をコピーすると自動で参照先のセルが変わる
相対参照とは、オートフィルで計算式をコピーしたときに参照先のセル番地が1つずつずれる状態にしておくことです。
実際のデータで、どのようにセル番地が変わるのか確認してみましょう。

これは、「D2」にセル参照で入力した計算式をオートフィルでコピーした画像です。
D列に表示された計算式を見ると、個数が入力されているB列と、単価が入力されているC列のセル番地が1つずつ下にずれています。
「相対参照」は、計算式をコピーしたときに、セル番地がずれるように参照することです。
相対参照で計算式を入力するときは、「A1」のようにセル番地に何もつけずに入力します。
絶対参照:計算式をコピーしたときに参照先が変わらないように固定
エクセルの絶対参照とは、セルに挿入した計算式や関数をコピーしたときに、参照しているセルを動かさないようにすることです。

この画像の「F7」のように、参照するセル位置をずらしたくないセルが含まれている計算式をコピーするときは、「絶対参照」にする必要があります。
絶対参照にする場合はセル番地の前後に「$」をつけて、「$F$1」のように入力します。
複合参照:列または行方向のいずれか一方を固定する
セルに入力した計算式は、下方向だけではなく横方向にもコピーできます。
相対参照で入力した計算式は、縦方向にコピーするとセルが下にずれますが、横方向にコピーすると横に1つずつずれていきます。
九九表を使って、セルがずれる方向を確認してみましょう。

「C3」のセルに「=C2*B3」と入力します。
C3の計算式を縦方向と横方向にコピーして、すべてのセルに計算式をコピーしてみましょう。

相対参照の状態の計算式をコピーすると、上記のように計算結果が間違っているだけではなくエラーが表示されている箇所もあります。
数式で表示して、計算式がどのようになっているかを確認してみましょう。

計算式を見ると、赤線がついていないすべてのセル番地がずれていることがわかります。
正しい計算式に修正するためには、赤の矢印がついているセルは列を固定して、青の矢印がついているセルは行を固定する必要があります。

列を固定する場合はアルファベットの左側に、行を固定する場合は右側に「$」をつけます。
C3のセルに「=$B3*C$2」と入力してEnterで確定してみましょう。

結果が表示されたら、オートフィルですべてのセルに計算式をコピーしてください。
数式で表示するとこのようになります。

今度は、正しい結果を表示することができました。
列または行のいずれか一方だけを固定したい場合は、複合参照を使いましょう。

どっちを固定したらいいかわからなくなったときは、九九表のように簡単な数字を入力してから計算式をコピーしてみてね。小さい数字を入力して確認すると、わかりやすいからおすすめだよ。
エクセルにおける参照の基本的な使い方
エクセルでは、上記で紹介した掛け算以外の四則計算や関数などの計算のほかに、特定のセルに入力した文字や数字と同じものを表示させたいときにも「参照」を使うことがあります。
このような形で使用する代表的な書類には、請求書などがあります。

参照を使うと、こちらの画像のように『エクセルで計算した合計金額を請求金額のセルに表示する』といった使い方ができます。
他のセルと同じ内容を表示したいときは、「=」のあとに表示したいセル番地を入力します。

これは、先ほどの請求書を数式で表示したものです。
合計金額は、「F30」のセルに入力されています。
請求金額の「C14」に「=F30」と入力すると、合計金額の計算結果を請求金額のセルに表示できます。

セル参照で表示すると、合計金額が変わると請求金額も自動で修正されるから便利だよ。
セル参照の基本の使い方は、セル番地を使って計算したり、文字や数字を表示したりすることです。
ただし、オートフィルで計算式をそのままコピーするとセル番地が変わってしまい、正しい計算式がコピーされない場合があります。
計算の内容に合わせて、「相対参照」、「絶対参照」、「複合参照」の3つを使い分けましょう。
エクセルで別のシートやブックをまたいでセルを参照する方法
同じシート内のデータだけではなく、別のシートや別のブックを参照することも可能です。

別のシートをまたいで参照するってどういうことですか?

同じシート内にあるデータではなく、別のシートやファイルにある文字を参照することだよ。
別のシートやブックをまたいで参照する具体例を見てみましょう。
別のシートを参照する手順
別シートにあるデータを参照する場合の手順も、同じシート内のセルを参照する手順とほとんど同じですが、参照しているシート名が「シート名!」という形で表示される点が異なります。

こちらの2つのシートを使って、「=」でテキスト名を表示してみましょう。

別のシートを参照すると、数式バーに「シート名!セル番地」と表示されます。
別のファイルを参照したいときはパスを活用する
別のファイルの場合は、参照したいファイルを開いて参照する方法と、ファイルを開かずに参照する方法があります。

これは、別のファイルを開いて「A1」にリンクした画像です。
ファイルを開いてからリンクすると、「[ファイル名]シート名!セル番地」のように省略したパスで表示されます。
しかし、ファイルを開かずにリンクしたい場合は、Cドライブから始まるフルパスで指定する必要があります。
別のシートやファイルを参照する手順は、エクセルで別シートを参照する方法で画像を使って詳しく解説しています。
エクセルで参照する代表的な関数の種類と使い方
エクセルで参照に使われる関数はいくつかあります。
ここでは、よく使われる代表的な関数とその基本的な使い方を紹介します。
今回紹介する関数は単独でも使えますが、IF関数など他の関数と組み合わせて使うこともできます。
VLOOKUP関数:指定した範囲から列方向に検索して値を取り出す
VLOOKUP関数は、指定した範囲から列方向に検索して値を取り出す関数です。

VLOOKUP関数を利用すると、この画像のように別の場所に作成した表の品名を参照を使って請求書内に表示することができます。
- 別の場所に商品リストの表を作成する
- 商品ナンバーを入力すると、表を参照して品名が表示されるようにVLOOKUP関数を挿入
- 請求書の商品ナンバーを入力
上記の手順でVLOOKUP関数を挿入しておくと、商品ナンバーを入力するだけで品名を表示できるので、入力時間の短縮になるだけではなく、入力ミス防止にも役立ちます。
HLOOKUP関数:指定した範囲から行方向に検索して値を取り出す
HLOOKUP関数は、表から行方向に検索して値を取り出す関数で、同じシート内または別シートに作成した表を参照し、条件に合うデータを取り出します。
基本の操作はVLOOKUP関数と同じですが、列番号ではなく行番号を指定する点が異なります。

表が右側の画像のように、商品名が行方向に作成されている場合はHLOOKUP関数を使いましょう。
INDEX関数:指定した範囲の中から行番号と列番号を指定して値を取り出す
INDEX関数は、表の中から行番号と列番号を指定して交差する位置にある値を参照する関数です。

INDEX関数は、上記の図のように行番号、列番号を指定して、行番号と列番号が交差している場所の値を参照する関数です。
例えば、表から「3月のパパイヤの仕入価格を表示したい」といった場合に使用することができます。
ただし、INDEX関数を使って文字を参照するためには、行番号、列番号を目視で数える必要があります。
そのため、INDEX関数は単体で使うよりもMATCH関数やVLOOKUP関数と組み合わせて使うことで効果を発揮します。
MATCH関数:指定した値が範囲内のどの位置にあるかを検索して番号で表示する
MATCH関数は、指定した値が表のどの位置にあるかを検索して、数字で返す関数です。

MATCH関数は、上記の画像のように指定した文字が表の何行目、または何列目にあるかを数字で表示します。
MATCH関数を単体で使用した場合、表示されるのは数字のみです。
しかし、MATCH関数は関数を使って行や列の位置を数えることができるため、INDEX関数と組み合わせると数え間違いによる入力ミスが防げます。
INDIRECT関数:入力した値や数式を変えずに参照セルをずらす
INDIRECT関数は、入力した値や数式を変えずに参照セルをずらすことができる関数です。

参照セルをずらすってどういうことですか?

関数に直接入力したセル番地を使って、別の場所のセルを参照するという意味だよ。
言葉だけだとわかりにくいから、実際のデータで確認してみよう。

このデータの「A3」には、「=INDIRECT(A1)」が挿入されています。
「A1」のセルには、「D1」と入力されていますね。
INDIRECT関数で指定した参照先のセルに別のセル番地が入力されていた場合、参照先を「A1」から「D1」に変更するという意味に変わります。
「D1」には、「みかん」と入力されているので、このデータの場合、「=INDIRECT(A1)」と入力すると「D1」に入力されている「みかん」の文字が表示されます。

INDIRECT関数を使うと、こんな使い方もできるよ。

これは、「新宿校」、「渋谷校」、「池袋校」のシートに分けて、1月から6月までの合計を「集計」シートにまとめたものです。
各シートのシート名と集計シートの表の見出しが同じなので、INDIRECT関数を使うと参照先を集計の「A2」、「A3」、「A4」から各シートに変更することができます。
エクセルで参照する代表的な関数を5つ紹介しましたが、さらに詳しく使い方紹介した記事があるのでぜひ参考にしてみてください。
エクセルで参照に使える関数
エクセルの絶対参照が必要な理由と使い方
エクセルに入力した計算式や関数は、オートフィルでコピーすることで入力時間を短縮できます。
取引先別に割引率を変えた販売価格リストや消費税込みの商品価格リストなどを作成するときに絶対参照を活用すれば、1つのセルに割引率や消費税率を入力するだけで、すべてのセルに計算結果を反映させるといった使い方が可能です。
また、参照を使って計算式を挿入しておけば、将来的に割引率や消費税率が変更されたとしても「割引率」または「掛け率」の数字を変更するだけで修正できるので、データを作り直す必要がありません。
便利な絶対参照の詳しい解説は、こちらの記事を参考にしてみてください。
絶対参照・相対参照の違いと使い分け
絶対参照と相対参照の違いと使い分けを確認してみましょう。
絶対参照と相対参照は、計算式をオートフィルでコピーしたときに参照先のセルが変わるか・変わらないかという点に違いがありましたね。
そのため、参照先のセルを固定したいか、動かす必要があるかで使い分けをします。
絶対参照 | 相対参照 |
---|---|
コピーしても参照先のセルを動かしたくないとき | コピーしたときに参照先のセルを動かしたいとき |
セル番地のアルファベットの前後に「$」をつける | セル番地に何もつけずに入力する |

ビジネスでは、複数のセルに計算式を1つずつ手入力するケースはほとんどないから、絶対参照と相対参照の違いと使い分け方をしっかり覚えておこう!
絶対参照と相対参照の違いと使い分けは、こちらの記事で詳しく解説しています。
エクセルで絶対参照にするショートカット

絶対参照にするときに、毎回「$」を入力するのが大変なんですけど、簡単に入力できる方法ってないんですか?

ショートカットキーを使うと、毎回アルファベットの前後に「$」入力せずに絶対参照にできるよ。
絶対参照にする場合、毎回「$」を手入力するのは大変ですよね。
そんなときは、絶対参照にするショートカットがおすすめです。
セル番地を挿入したあとにF4を押すと、アルファベットの前後に「$」が表示されます。
F4を押す回数によって「$」マークの位置と数が変わります。
一度で絶対参照にならなかったときは、両側に「$」が表示されるまで押してください。
ノートパソコンを使用している場合は、F4キーを押しても「$」マークが表示されない場合があります。
その場合は、Fnキーを押しながらF4キーを押してみてください。
複数セルの絶対参照を一括で変換したいときは置換を活用する
複数のセルに入力されている絶対参照を一括で変換したいときは、置換を活用しましょう。

置換を使った方法は、例えばこちらのデータのように絶対参照で挿入されている「$D$1」を「$E$1」に変更したい場合などに効果的です。
絶対参照を一括で変換する詳しい手順は、こちらの記事をご覧ください。
【応用編】絶対参照を活用してVLOOKUP関数を使ってみよう
絶対参照が必要なのは、四則計算だけではありません。
表を参照して列の値を返すVLOOKUP関数も、表の範囲を絶対参照で指定する必要があります。

右側に作成した表を参照して左側の請求書に品名が入力されるようにVLOOKUP関数を挿入しておくと、品名を入力する手間が省けるので便利です。
ただし、先頭のセルに入力した関数をオートフィルでコピーする場合は、参照するセル範囲を絶対参照に変更しておく必要があります。
VLOOKUP関数に関する解説と絶対参照をVLOOKUP関数で使用する方法は、別の記事で詳しく解説していますのでこちらの記事をご覧ください。
循環参照の見つけ方!エラーチェックで瞬時に表示して解決するには?

エクセルで計算式を入力したら、「1つ以上の循環参照が発生しています」っていうエラーメッセージが表示されてしまいました。循環参照って何ですか?

循環参照とは、簡単にいうと数式を挿入したセルの値も含めて答えを出そうとしている計算式が含まれているってことなんだ。
エクセルで間違った範囲を参照すると、「循環参照」というエラーが発生することがあります。
循環参照の見つけ方と意味を解説します。
そもそも循環参照って何?
循環参照とは、「挿入したセルも含めて、答えを出そうとしている計算式がある状態」です。

挿入したセルも含めて答えを出そうとしているってどういうことですか?

実際のデータで循環参照の計算式の例を確認してみよう!

合計金額に挿入されているSUM関数は、循環参照エラーになっています。

「F30」のセルには、「F28:F30」を合計するSUM関数が挿入されています。
「F30」の答えを出すためには、「F28:F30」までの範囲の数字を合計しなければなりません。
しかし、計算式を挿入したセルの値も含めて合計することは不可能ですよね。
つまり、循環参照エラーは言い換えると、絶対に答えを出すことができない計算式が含まれているエラーということです。
循環参照のセルはエラーチェックで一発表示
循環参照になっている計算式が挿入されていると、以下のようなメッセージが表示されます。

このメッセージには「1つ以上の循環参照が発生しています。」としか書かれていないため、エラーが発生しているセルはわかりません。
しかし、次に紹介する方法を使うと、循環参照のエラー場所を簡単に確認できます。

- 「数式」タブをクリック
- 「数式の表示」を選択
- 「エラーチェック」の下向き矢印をクリックする
- 「循環参照」にマウスポインタを合わせる
循環参照になっているセル番地が表示されるので、表示されたセル番地の計算式を確認してください。
エラーを回避!見つけた循環参照を修正する
見つけた循環参照エラーは、正しい計算式に修正する必要があります。
循環参照のセルを見つけたら、まず計算式の内容をチェックしてみましょう。

このデータの場合、SUM関数の範囲が「F28:F30」ではなく、「F28:F29」が正しいので、「F30」を「F29」に修正してEnterで確定します。
循環参照の見つけ方と、循環参照が起こる他のパターンを詳しく説明している別の記事もありますので、こちらもご覧ください。
「参照が正しくありません」と表示されたときはESCでエラーを回避!
参照を使った計算では、循環参照以外に「参照が正しくありません」というエラーが発生することがあります。
「参照が正しくありません」というメッセージが表示される原因と対処法を解説します。
「参照が正しくありません」と表示される理由
「参照が正しくありません」と表示される理由は、大きくわけると以下の2つです。
- 画像や図形を選択した状態で数式バーに入力しようとしている
- 参照していたシートやファイルが削除された

「参照が正しくありません」と表示されるときは、画像や図形が選択されている状態で数式バーに文字を入力している可能性が高いです。
参照していたシートやファイルが削除された場合は、参照先が存在しないという意味の「#REF!」エラーが表示されるケースが多いですが、場合によっては「参照が正しくありません」というエラーメッセージが表示されることがあります。
エラーを修正する具体的な手順
「参照が正しくありません」というメッセージが表示された場合は、原因に合わせてエラーを回避する必要があります。
例えば、図形が選択されている状態で数式バーに文字を入力している場合であれば、図形の選択を解除してから操作を行いましょう。
エクセルが終了できないときは「ESC」で対応
エラーメッセージの「OK」を押してもエラーメッセージが何度も表示されてエクセルが終了できない場合は、ESCキーで対応しましょう。

エラーメッセージが表示されている状態で、ESCを2回押すと、他のセルをクリックしてもエラーメッセージが表示されなくなります。
「参照が正しくありません」については、詳しく解説している別の記事もあります。
こちらもぜひ参考にしてみてください。
使わなきゃ損!エクセルの「構造化参照」で効率アップ
エクセルにはさまざまな参照方法がありますが、テーブルを活用した参照を使うとさらに作業効率がアップします。
テーブルを「構造化参照」で指定する手順
構造化参照とは、表をテーブルに変換して「名前の定義」を使って名前をつけ、テーブル名や定義された名前で参照することです。

テーブルと表は見た目は似ていますが、テーブルを「構造化参照」で指定しておくと追加したデータを自動で反映させることができます。

また、定義した名前を使って計算式を挿入すると、「=テーブル3[@定価]*掛け率」のように文字で計算式が表示されるようになります。
構造化参照には、追加したデータが自動で反映されるというメリットがありますが、計算式の内容が分かりやすくなるというメリットもあります。
別シートのテーブルを参照する方法
別シートのテーブルを参照する場合も手順はほぼ同じですが、販売価格のシートと定価の表をそれぞれ別のシートに作成しておきます。

販売価格のシートの「B1」に掛け率、テーブルのシートの「B4:B16」の範囲に定価と名前をつけておきます。
最後に、販売価格のシートに名前を使って計算式を挿入すれば完成です。
構造化参照のメリットを実務で生かすコツ
構造化参照のメリットを実務で生かすコツは、作成した表を「テーブルに変換しておく」ことと、計算に使用する範囲に「名前をつけておく」ことです。

よくわからないのですが、表とテーブルって何が違うんですか?

見た目は似ているんだけど、テーブルには表にはないフィルター機能などの便利な機能があるんだ!
表をテーブルに変換しておくと、構造化参照を使うことができます。
構造化参照は、相対参照と絶対参照を使い分ける必要がないため、「$」をつけ忘れてしまうといったことがなくなります。
特に、「テーブル」には表にはない便利な機能がたくさんあるので、ビジネスシーンでぜひ活用したい機能の1つです。
テーブルで参照する構造化参照を実務で生かす具体的な方法を紹介した記事もありますので、こちらもぜひご覧ください。
エクセルでグラフタイトルを参照で表示する方法
セル番地を使った計算や離れたセルの内容を表示するなど、参照には便利な使い方が数多くあります。
しかし、参照の使い道はそれだけではありません。
グラフタイトルも参照を使って表示することができます。

参照でグラフタイトルを表示させておけば、表のタイトルを変更するとグラフのタイトルも自動で修正されるので便利です。
シート名とセル番地を指定してグラフタイトルに表示させよう
グラフタイトルを参照で表示すると、セル番地とシート名で表示されます。

グラフタイトルを直接入力することもできますが、参照で入力しておくと表のタイトルを変更するとグラフタイトルも連動して変更されるようになるので、ぜひ試してみてください。
セル参照で表示したグラフタイトルを変更する

参照で表示したグラフタイトルを変更したいときはどうすればいいんですか?

グラフの元になる表のタイトルを変更すると、グラフタイトルも自動で修正されるよ。

参照したセルの文字を変更すれば、グラフタイトルは自動で修正されます。
グラフタイトルを参照する方法は別の記事で詳しく解説していますので、こちらの記事も参考にしてみてください。
エクセルで「名前の定義」が参照できないときの対処法
テーブルで参照する構造化参照を使うときは、特定のセルや範囲に名前の定義を使って名前をつける必要があります。
設定した名前の定義で参照できない主な原因と対処法を解説します。
参照エラーの主な原因は範囲指定ミスと入力ミス
参照エラーの主な原因は、名前をつけるときの「範囲指定ミス」と計算式を挿入するときの「入力ミス」です。

この画像は、名前の定義を使って販売価格を計算したデータです。
数式バーには、「定価*掛け率」と表示されているのに、エラーになっています。
計算式を入力したセルをダブルクリックして、参照範囲を確認してみましょう。

参照されているセル範囲を見ると、定価の参照範囲が間違っていることがわかります。
このように、名前をつけるときに選択範囲を間違えるとエラーが発生します。
「名前の定義」で参照できないときは、選択範囲や入力内容に誤りがないか確認してみてください。
参照できない問題を解決する正しい手順
参照できない問題を正しい手順で解決するためには、原因を見つけて間違いを修正する必要があります。
例えば、名前の定義の参照範囲が間違っていた場合は、こちらの「名前の管理」画面から参照範囲の修正を行います。

「名前の定義」で参照できないときの原因や対処法は、別の記事で詳しく解説していますのでこちらをご覧ください。
エクセルの「参照先・参照元トレース」を活用してエラーをすばやく発見する方法
エクセルには、「トレース」という機能があります。
たとえば、前述した循環参照エラーが発生した場合、トレース機能を使うと間違いが見つけやすくなるのでうまく活用してみてください。
参照先のトレースと参照元のトレースの違いとは?
トレースには、「参照先のトレース」と「参照元のトレース」の2種類があります。

選択したセルに向かっている矢印が「参照元のトレース」で、選択したセルから出発しているのが「参照先のトレース」です。
「参照元のトレース」と「参照先のトレース」の違いは以下のとおりです。
参照元のトレース | 参照先のトレース |
---|---|
選択したセルが計算に使用しているセルがわかる | 選択したセルを使って計算しているセルがわかる |
選択したセルがどのセルを参照して計算しているかを確認したいときに使用する | 選択したセルを参照して計算されているセルを確認したいときに使用する |
参照セルを視覚化!トレースの基本操作

向きが違う青い矢印が表示されるってことはわかったんですが、どうやって使えばいいんですか?

トレース矢印を表示すると、選択したセルがどこのセルを使って答えを出しているのか、または選択したセルを使って答えを出しているセルの位置がどこなのかを知ることができるんだ。
間違っている計算結果が表示されている場合やエラーが表示された場合は、トレース矢印を使うと計算の元になっているセルが矢印で表示されるので、挿入された計算の参照先が合っているか検証することができます。
トレース矢印は、参照先を確認したいセルを選択して、「参照先のトレース」または「参照元のトレース」をクリックするだけなので、ぜひ使ってみてください。
「参照先・参照元」トレースを活用してエラーを修正する具体的な手順
数式の入力間違いやエラーの原因がわからないときは、参照元のトレースまたは参照元のトレースを使って参照しているセルを視覚化してみましょう。

トレース矢印で参照セルを視覚化することで、誤りのあるセルが見つけやすくなります。
ただし、トレースにはエラーの原因を表示する機能はありません。
矢印を利用してエラーの原因を確認したら、正しい数式になるように修正を行う必要があります。
「参照先のトレース」の詳しい使い方や修正方法は、こちらの記事をご覧ください。
エクセルの参照に関するQ&A
- エクセルで表示される$A$1とは何ですか?
-
セル番地のアルファベットの前後に「$」が表示されているのは、絶対参照で参照しているという意味です。
絶対参照については、本文の≫エクセルの絶対参照が必要な理由と使い方で詳しく解説しています。
- エクセルでセルの参照とはどういう意味ですか?
-
セルの参照とは、セルに入力されているセル番地を使って、文字を入力したり、計算をしたりすることです。
本文の≫エクセルの参照とは?セル番地を指定して文字の表示や計算をすることで詳しく解説していますので、参考にしてみてください。
- エクセルで参照する方法を教えてください。
-
エクセルでは、参照が活用できる操作が数多くあります。
そのため、参照を使って何をしたいのかによって、操作方法が変わります。
本文では、さまざまなパターンの参照の方法を紹介していますので参考にしてみてください。
エクセルの参照の意味を理解して使いこなそう!
エクセルの参照の基本は、セル番地を使って別のセルに入力されている文字と同じものを表示したり、計算したりすることです。
参照は、会社でデータを作成する際の効率をアップ・修正漏れ防止にも役立つ便利な機能です。
ただし、作業内容によって参照の方法が異なりますので、具体的な操作は本記事を参考にしてみてください。
最後に、参照を使うポイントをおさらいしておきましょう。
- 四則計算や他のセルに入力した文字や数字と同じものを表示させたいときは、セル参照が便利!
- 「相対参照」・「絶対参照」・「複合参照」の意味と違いを理解しておく
- セル参照で入力した計算式をコピーしたいときは、3つの参照の使い分けが必要
「参照」は、エクセルを操作するうえで基本となる操作の1つです。
参照の意味や使い方をマスターして、実務に役立ててみてください。