エクセルの参照先のトレースでセルを視覚化!

エクセルの参照先のトレースって何ですか?トレース機能を使うとエラーの原因が見つけやすくなるって言われたんですけど、どんな機能なのか詳しく教えてください。

参照先のトレースは、どのセルを使って参照しているかを矢印で表示できる便利な機能なんだ。トレース矢印を表示する方法と見方を教えるね。
参照先のトレースは、セルの参照関係を矢印で表示できる機能です。
セルの参照関係が表示された矢印で確認できるので、エラーの原因を見つけたいときや他の人が挿入した計算式の内容を把握したいときに役立ちます。
- 参照関係を確認したいセルを選択
- 「数式」タブをクリック
- 「参照先のトレース」を選択する
参照先のトレースを利用すると、セル間の参照関係を直感的に判断できるようになります。
本記事では、トレース機能の使い方と活用方法について解説していますので、参考にしてみてください。
参照先のトレース以外にもエクセルの参照に関する関連記事があります。
こちらの記事もぜひご覧ください。
エクセルの参照先のトレースで可視化してみよう!
エクセルの「参照先のトレース」は、指定したセルの参照先を矢印で表示する機能です。
参照先のトレースを使うと、上記の画像のように参照先のセルを可視化することができます。

表示された青い矢印はどうやって見たらいいんですか?
トレース矢印の基本の見方を教えるね。
青い「●」がついているセルは、参照先を確認したいセルです。
青い矢印の終点になっているセルは、●がついているセルの値を参照しているセルを表しています。
参照先は1箇所の場合もありますが、次のデータのように複数箇所を参照している場合もあります。
これは、「D4」をクリックして「参照先のトレース」を選択したあとの画像です。
「D4からD12」、「D12からD13」、「D12からD14」の3本の矢印が表示されています。
この3本の矢印が表している意味は、以下のようになります。
「D4」から「D12」 | 「小計」が影響を受けている範囲 |
「D12」から「D13」 | 「消費税」が影響を受けている範囲 |
「D12」から「D14」 | 「合計」が影響を受けている範囲 |
直接的に「D4」のセルを参照しているのは「小計」だけですが、「消費税」と「合計」も「小計」の影響を受けている値です。
つまり、「消費税」と「合計」も間接的に「D4」を参照しているということです。
このように、トレース矢印を表示しておくと、影響を受けているセルを直感的に判断できるようになります。
選択したセルの参照先をトレースする手順
参照先のトレースは、参照先を確認したいセルを選択して矢印を表示します。
同じシート内の参照先をトレースする
参照先のトレースを使って、同じシート内にある参照先をトレースしてみましょう。
矢印の起点となる参照先を確認したいセルをクリックして選択します。
- 「数式」タブをクリック
- 「参照先のトレース」を押す
- 青い矢印が1本表示される
参照先のトレースの青い矢印は、1本ずつ追加されていきます。
システム音が鳴るまで「参照先のトレース」をクリックすると、すべての参照先のトレース矢印を表示することができました。
別シートの参照先をトレースする
参照先のトレースは、別のシートを参照している場合も利用することができます。
「テキスト発注表(別シート)」の単価は、「テキスト価格表」のシートの単価を参照しています。
こちらのデータを使って、「テキスト価格表」の「B3」の参照先をトレースしてみましょう。
- 参照先を確認したいセルを選択
- 「数式」タブをクリック
- 「参照先のトレース」を押す
- 黒い点線の矢印と表のアイコンが表示される
黒い矢印の先端部分をダブルクリックしてください。
「ジャンプ」のダイアログボックスが表示されます。
- 移動先を選択
- 「OK」をクリック

参照先に移動する必要がない場合は、「参照先」に表示されている「ファイル名」、「シート名」、「セル番地」を見て確認してね!
参照先のセルにジャンプすることができました。
エクセルは参照元もトレースできる
選択したセルを参照している「参照先のトレース」だけではなく、選択したセルが参照している「参照元のトレース」矢印も表示することができます。
「参照先のトレース」と「参照元のトレース」って何が違うんですか?
使い分け方を教えてください。
データを使って参照先のトレースと参照元のトレースの違いを比較してみよう!
参照先のトレース矢印を表示すると、選択したセルを起点に矢印が表示されていますね。
「参照先のトレース」は、選択したセルの影響を受けているセルを調べたいときに使います。
このデータでは、「D4」の影響を受けているのは、「小計」、「消費税」、「合計」のセルです。
一方、「参照元のトレース」は、選択したセルの方向に向かって青い矢印が表示されます。
このデータでは、選択したセルに向かう青い矢印と、表のアイコンから出ている黒い点線の矢印の2種類が表示されていますね。
黒い点線の矢印は別のシートを参照していることを表し、青い矢印は同じシート内のセルを参照して計算していることを表しています。
このように、選択したセルがどこを参照しているのか確認したいときは、「参照元のトレース」を使いましょう。
参照元のトレースも参照先のトレースと同様に、同じシート内だけではなく別シートにあるデータも参照することが可能です。
同じシート内の参照元をトレースする
参照元のトレースを使って、選択したセルが参照しているセルを確認してみましょう。
- 起点のセルを選択
- 「数式」タブをクリック
- 「参照元のトレース」を押す
- システム音が鳴るまで参照元のトレースをクリック
「●」は、参照しているセルの位置を表しているんだ。
この場合、「単価」と「数量」のセルを使って計算しているっていう意味になるよ。
別シートの参照元をトレースする
今度は、別シートのセルを参照しているデータを使って、参照元をトレースしてみましょう。
参照元を確認したいセルをクリックします。
- 「数式」タブをクリック
- システム音が鳴るまで「参照元のトレース」を押す
黒い点線の矢印の先端をダブルクリックしてください。
- 移動先をクリックする
- 「OK」を押す
別シートの参照元のセルにジャンプすることができました。
エクセルで参照セルを可視化できるトレースの活用法
参照先または参照元のトレースを使うと、参照によって影響しあうセルを可視化することができます。
トレース矢印は、以下のような場面で使うと効果的です。
- エラー箇所を探したいとき
- 他の人が挿入した数式内容を確認したいとき
それぞれの内容について詳しく解説していきます。
エラー箇所を探す
セル参照で入力した計算式がエラーになってしまった場合、参照先または参照元のトレース矢印を表示することでエラー箇所が探しやすくなります。
これは、循環参照エラーが発生しているファイルを開いたあとの画像です。
シート内に挿入した計算式の中に循環参照の状態になっている箇所があると、ファイルを開くたびに上記のようなエラーメッセージが表示されてしまいます。
このようなときは、エラーチェックの中にある「循環参照」と「参照元のトレース」を組み合わせて使うと、エラーの原因を簡単に見つけることができます。
なお、循環参照については別の関連記事で詳しく解説していますので、こちらの記事を参考にしてみてください
「数式」タブを選択してエラーチェックの中にある「循環参照」にマウスポインタを合わせ、循環参照になっているセル番地を確認します。
STEP1で表示された「D14」をクリックして参照元のトレースを選択すると、「青い矢印」と「青い枠線」が表示されます。
左側は循環参照の状態で参照元のトレースを表示した画像で、右側は正しい計算式が挿入されている状態で参照元のトレース矢印を表示した画像です。
矢印の表示は同じですが、合計のセル範囲を示している青枠の範囲が異なっていますね。
表示された青枠から、循環参照の原因はSUM関数の範囲の入力ミスであることが確認できました。
トレース矢印を表示すると、上記のように青い矢印と青枠が表示されるケースがあります。
青枠が表示されるとエラーの原因が見つけやすくなるので、うまく活用してみてください。
他の人が挿入した数式内容を確認する
社内でデータを共有で使用している場合、他の人が数式を挿入したエクセルデータを利用するケースがありますね。
トレース機能を活用するとセル間の参照関係がわかり、挿入された数式の意味や目的を把握しやすくなります。
これは、別シートのデータを参照している「合計」のセルの参照元をトレースした画像です。
単価が入力されているB列に、黒い点線の矢印が表示されています。
参照先または参照元のトレースで黒い点線の矢印が表示されるときは、別のシートを参照しているという意味です。
トレース矢印を表示することで、金額を訂正したいときは別シートにある参照元のデータを修正しなければいけないということがわかります。
また、同じシート内のデータの場合も、セル間の参照関係を視覚で判断できるようになるので、計算式とあわせて確認すると挿入された計算式の意味や参照関係が把握しやすくなります。
トレース矢印の見方さえ覚えてしまえば、セルの参照関係が直感的に判断できるようになるよ!
エクセルのトレースに関するショートカット一覧
トレース矢印を素早く表示したいので、ショートカットがあったら教えてください。
トレースに関するショートカットを教えるね。
トレースに関するショートカットには、以下のようなものがあります。
機能 | ショートカットキー |
---|---|
参照先のトレース | Alt→M→P |
参照元のトレース | Alt→M→D |
すべてのトレース矢印の削除 | Alt→M→A→A |
参照先のトレース矢印の削除 | Alt→M→A→P |
参照元のトレース矢印の削除 | Alt→M→A→D |
参照先のセルへ移動 | Ctrl+] |
参照元のセルへ移動 | Ctrl+[ |
元のセルに戻る | F5→Enter |
矢印がついているものは該当のキーを順番に押し、プラスがついているものは該当のキーを同時に押して使用します。
ただし、矢印をショートカットで表示したい場合は、表示される矢印の本数に制限があるので注意しましょう。
参照先または参照元のトレースをショートカットで表示した場合、複数のセルを参照していた場合でも矢印は1本しか表示されません。
すべての矢印を表示したい場合は、「数式」タブのワークシート分析のグループにあるメニューから操作を行うようにしてください。
参照先のトレース
「参照先のトレース」のショートカットは、Alt→M→Pです。
- 参照したいセルを選択
- Alt→M→Pの順番でキーを押す
「参照先のトレース」の矢印を表示することができました。
参照元のトレース
「参照元のトレース」のショートカットは、Alt→M→Dです。
- 参照したいセルをクリック
- Alt→M→Dの順番でキーを押す
「参照元のトレース」の矢印が表示されました。
トレース矢印の削除
トレース矢印の削除のショートカットは、Alt→M→Aです。
Alt→M→Aを押すと上記のような画面が表示されるので、赤枠の中から削除するトレースの種類を選択します。
キーボードのみので操作したい場合は、以下のショートカットを使用してください。
- すべてのトレース矢印の削除:Alt→M→A→A
- 参照先のトレース矢印の削除:Alt→M→A→P
- 参照元のトレース矢印の削除:Alt→M→A→D
キーボードを使ってすべてのトレース矢印を削除してみましょう。
参照先または参照元のトレースが表示されている状態でAlt→M→A→Aの順番でキーを押します。
すべてのトレース矢印を削除することができました。
なお、複数のトレース矢印が表示されていた場合、Alt→M→A→PまたはAlt→M→A→Dを押すと、トレース矢印は1本ずつ削除されます。
一括で削除したい場合は、トレースの削除の中にある「参照先のトレースの削除」または「参照元のトレースの削除」を使用してください。
参照先のセルへ移動
参照先を確認したいセルをクリックしてCtrl+]を押すと、参照先のセルへ移動することができます。
このショートカットは、トレース矢印の表示の有無に関係なく使用できます。
参照先を確認したいセルをクリックします。
参照先にセルを移動することができました。
参照元のセルへ移動
参照元のセルへ移動するショートカットは、Ctrl+[です。
参照元のセルへ移動する場合も、トレース矢印の有無に関係なく操作できます。
参照元を知りたいセルをクリックします。
参照元にセルを移動することができました。
元のセルに戻る
参照先または参照元にセルを移動したあとに、F5→Enterを押すと元のセルに戻ることができます。
参照先または参照元のセルが選択されている状態で、F5を押したあとにEnterを押してください。
エクセルの参照先のトレースに関するQ&A
- 参照元のトレースで参照先が別シートにある場合の確認方法を教えてください。
-
参照元が別シートにある場合、トレース矢印が黒い点線で表示されます。
矢印の先端部分をダブルクリックすると、参照先のシートにジャンプすることができます。
別シートの参照元をトレースするで参照元のトレースを挿入する方法と参照元を確認する方法を解説していますので、こちらをご覧ください。
- トレースが点線で表示されるときの意味を教えてください。
-
トレース矢印が点線で表示されるときは、参照先または参照元が別のシートにあることを表しています。
- エクセルで参照先のトレースを表示するショートカットキーはありますか?
-
参照先のトレースのショートカットキーは、Alt→M→Pです。
ただし、ショートカットキーでトレース矢印を表示すると、参照先のセルが複数ある場合でも矢印は1本しか表示されません。
すべての矢印を表示したい場合は、数式タブにある「参照先のトレース」を使いましょう。
トレース機能をうまく活用してみよう!
トレース矢印は、セル間の参照関係を視覚化できる便利な機能です。
エラーの原因がわからないときや他の人が挿入した計算式の内容を素早く判断したいときは、トレース機能を活用してみてください。
最後に、参照先のトレース矢印を表示する方法をおさらいしておきましょう。
- 参照関係を確認したいセルを選択しておく
- 「数式」タブをクリック
- 「参照先のトレース」を押す
参照先または参照元のトレースは、矢印を表示する方法だけではなく、矢印の見方がわからなければ機能をうまく生かすことができません。
本記事では、矢印の見方と参照先または参照元のセルにジャンプする方法を解説していますので、参考にしてみてください。
トレースの機能以外にも、エクセルの参照に関連する記事があります。
こちらの記事もぜひご覧ください。